株式会社の設立

株式会社を設立するためには、その本店の所在地において設立の登記をする必要があります。

株式会社の設立の登記に必要な手続は、おおむねね以下のとおりとなります(発起人が設立時に発行される株式の全部を引き受ける場合)。

  1. 設立する株式会社の概要の決定
  2. 1で決定した内容に従った定款の作成
  3. 公証人による定款の認証
  4. 発起人による出資の履行
  5. 設立時役員(設立時取締役など)の選任
  6. 設立時取締役等による調査
  7. 設立登記の申請(株式会社の代表印の届出も通常は同時に行う)

そして、この過程で、定款をはじめ、様々な書類(あるいは電子定款の場合は電磁的記録)を作成する必要があり、これらを設立登記の申請書に添付する必要があります。

特に定款については、平成18年に会社法が施行されてからは、それ以前と比べて各会社が比較的自由に定款の内容の設計をすることができるようになりました。そのため、会社設立時においても、設立するそれぞれの会社に合わせて定款を作成する必要があります。

 

機関設計・役員の変更(取締役の変更等)の登記(株式会社)

株式会社の役員(取締役や監査役など)に変更が生じた場合、その旨の登記をする必要があります。

役員の変更は、役員の新たな選任、任期満了、辞任などの事由により生じます。再任の場合も、役員の変更登記が必要です。

株式会社の役員には任期があります(※1)。会社法上、原則として、取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで、監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで、とされています。

ただし、一定の株式会社(非公開会社)においては、定款によって、取締役・監査役とも、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで任期を伸長することができます。

このように、定款で役員の任期が伸長されていることもあるので、注意が必要です。

(※1)特例有限会社(会社法施行前の有限会社であって、商号中に有限会社とある会社)の役員については、会社法上任期はありません。

 

本店移転の登記

会社法上、会社の住所は本店の所在地にあるものとされています。

会社の本店(会社の住所)を移転する場合、本店移転の登記が必要になります。

本店移転をするに際しては、以下の2点に気をつける必要があります。

  1. 会社の定款で、本店の所在地についてどのように定められているか
  2. 本店の旧所在地と新所在地とが、同一の登記所の管轄区域内にあるかどうか

まず、1について、本店の所在地は会社の定款で必ず定めなければならない事項とされていますが、定款に記載すべき本店の所在地については、最小行政区画である市町村まで定めればよいとされています。

ですので、定款の本店所在地の定めが市町村までとなっている場合に、定款に定める市町村の範囲内で本店移転するのであれば、定款の変更は必要ありません。

これに対し、定款に定める市町村の外に本店を移転する場合、あるいは定款で本店の所在地番まで定めている場合には、本店移転をするために、株式会社であれば株主総会の特別決議による定款変更の手続が必要になります。

2については、同一登記所の管轄区域内での移転か否かによって登記手続が異なるので、次に場合を分けて説明します。

同一の登記所の管轄区域内で本店移転する場合

同一の登記所の管轄区域内で本店を移転する場合には、管轄登記所に本店移転の登記を申請すればよく、申請書は1通で足ります。

他の登記所の管轄区域内に本店移転する場合

他の登記所の管轄区域内に本店を移転する場合には、旧本店所在地分の登記申請書と新本店所在地分の登記申請書とをそれぞれ作成して、これらを同時に旧所在地を管轄する登記所に提出する必要があります。

 

定款の変更による登記事項の変更登記(商号・目的等の変更登記)

定款の規定を変更するためには、定款変更の手続として、株式会社であれば原則として株主総会の特別決議が必要になります。

また、定款の条項が登記すべき事項である場合には、その変更に伴い、変更の登記も必要になります。

定款の条項の変更とともに変更の登記が必要なものとして主なものに、商号の変更・目的の変更・発行可能株式総数の変更といったものがあります。

以下では、このうち、商号の変更・目的の変更について説明します。

商号の変更の登記

会社の商号とは、「株式会社○○」というような、いわゆる会社の名称のことをいいます。

会社の商号は定款で必ず定めなければならない事項とされているため、商号を変更するためには、定款変更の手続が必要になります。

また、会社の商号を変更したときは、商号変更の登記が必要になります。

目的の変更の登記

会社の目的とは、その会社が営もうとする事業のことをいいます。

例でいえば、
「当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
 1.○○
 2.○○
 3.前各号に附帯する一切の事業」
といったものです。

会社の目的は、定款で必ず定めなければならない事項とされているため、目的を変更するためには、定款変更の手続が必要になります。

また、会社の目的を変更したときは、その旨の変更登記が必要になります。